年金データ入力ミスの「(株)SAY企画」倒産なぜ?
東京都豊島区にある(株)SAY企画は、2022年10月19日、東京地裁より破産開始決定を受け、倒産したことが明らかになりました。
負債総額は約4億円。
(株)SAY企画
2003年に創業。
データベース構築・入力業務を柱に、システム受託開発などを手掛けていました。
民間企業との取引が主力でしたが、リーマン・ショック以降、取引先の内製化が相次いだことで、東京都や厚生労働省など、行政や官公庁からの受注に傾倒しました。
厚生労働省など官公庁からの受注が売上の9割を占めるなか、日本年金機構から年金受給者のデータ入力業務を受託するなどして、2015年3月期には売上高約8億4100万円をあげていました。
しかし、2018年2月、日本年金機構との契約に反して無断で扶養親族等申告書の入力業務を中国の業者に再委託していたことが発覚しました。
また、多数の入力漏れなどにより年金受給者の源泉徴収額が正しく反映されない事態が発生しました。
2018年2月14日に入力漏れが判明した約6万5000人については日本年金機構が入力作業を行い、2018年3月15日の支払い時に還付しました。
2018年2月15日以降に判明した約1万4000人の入力漏れは、2018年4月13日の支払い時に正しく反映される作業を行いましたが、入力誤りは累計約31万8000人分にのぼるなど混乱が広がりました。
日本年金機構は、(株)SAY企画の不正行為を受け、内規に基づく停止措置としては最長期間(当時)となる向こう3年間、競争入札への参加資格を停止しました。
処分理由は、期限内の納品遅れの常態化や入力漏れで履行しないものがあったほか、再委託禁止だった業務を無断で海外の関連業者に再委託していたことなどでした。
問題発覚後、(株)SAY企画は2018年5月までに実質的に事業を停止。
信用の失墜から事業継続を断念し、2018年6月5日に株主総会の決議により解散していたところ、債権者から破産を申し立てられ今回の措置となりました。