鶏卵販売 イセ食品(株) 倒産なぜ?
2022年3月11日、債権者から会社更生法を申し立てられていたイセ食品(株)と関連のイセ(株)は、2022年3月25日、東京地裁より会社更生開始決定を受けました。
負債は、イセ食品が約278億円、イセが約171億円で、2社合計約449億円。
イセ食品(株)
「森のたまご」など販売、国内鶏卵流通のリーディングカンパニー
1912年 鶏の育種・改良事業に着手
1929年 山王家禽組合設立
1971年6月5日 イセ食品株式会社設立
イセ食品は国内大手の鶏卵販売業者として、鶏卵・液卵の卸売事業を手掛けていました。
生産子会社・関係会社を複数抱え、採卵鶏を約1300万羽飼育し、種鶏や親鶏の育成から、採卵、パッキング、配送に至るまでの全工程をグループで一貫して行っていました。
栄養強化卵への取り組みに注力し、1990年に現在のブランドたまごの定番となっている「森のたまご」を開発してロングセラーブランドに成長させたほか、2019年に日本初の機能性表示食品卵の「機能性表示食品伊勢の卵」を発売しました。
大手スーパーや飲食チェーンなどを中心に販路を構築していました。
イセ食品は国内はもとより、アメリカやアジアにも進出して事業を拡大した他、国内事業においてもM&Aによって事業を拡大していきました。
総数500社超の取引先を抱え、国内の鶏卵流通のリーディングカンパニーの1社として知られ、ピークの2018年1月期は売上高約470億6000万円をあげていました。
その一方で、関連会社へ資金融通や過大投資、元会長兼元社長の伊勢彦信が高額な美術品への資金を投下していた他、不適切な人員配置などでガバナンスが機能しておらず、生産性が著しく低下していました。
イセ食品グループが所有している美術品の総額は約120億円に上るそうです。
2019年11月に、富山県高岡市福岡町内にある富山事業所内に、伊勢彦信元会長の美術品コレクションを紹介する美術館を開館しています。
そんななか、金融債務の負担が重かったところに、飼料価格の高騰や「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う外食産業の不振などで業績が悪化しました。
2020年1月期は売上高約468億円に対して約14億円の赤字を計上し、資金繰りも悪化していました。
このため、私的整理を目指していましたが調整が難航していました。
こうしたなか、金融機関などから会社更生法を申し立てられました。
イセ食品は「営業はこれまで通り継続し、一般商取引債権に関しては裁判所の許可を得て、従前の取引条件での取引継続を条件に全額支払う予定である」とコメントしています。
すでにイセ食品の事業に興味を持った数社のスポンサー候補が現れているということです。
所在地:〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1
イセ(株)
1962年8月20日 設立
飼料の仕入販売を手掛けていました。
イセ食品(株)の倒産に連鎖。
所在地:富山県高岡市福岡町福岡新181
イセ食品グループ会社が倒産
イセ食品(株)の倒産をきっかけにイセ食品グループ会社8社が11月25日に倒産しています。
⇩ ⇩
「イセ食品」のスポンサーに三井住友銀行系企業
会社更生手続中の「イセ食品株式会社」は、「三井住友銀行」が100%出資する投資子会社「SMBCキャピタル・パートナーズ」を支援スポンサーに決定したと発表しました。